exhibition
展示
ココヤシの生い茂る、水田の村
インド ケララ州の村
ココヤシの生い茂る、水田の村
インド ケララ州の村
復元年代
復元方法
カーストの戒律が息づく村
南インドのケララ州にある、水田とココヤシに囲まれた美しい村をモデルにいくつかの階層(カースト)の家を復元しています。ケララとは現地の言葉で“ヤシの茂る地”という意味で、その名の通り周辺一帯には、一年中、ココヤシやバナナなどの緑があふれ、美しい水田風景が広がっています。ケララ州はかつて諸外国への玄関口でもありました。インド航路を発見したヴァスコ・ダ・ガマが到着した地としても有名で、昔からアラブやヨーロッパとの交易が盛んでした。
モデルとなった村は、起伏の多い内陸部に位置し、低地が水田、小高い所が屋敷地になっています。人々はそれぞれ20ほどのジャーティーに属しています。ジャーティーは職能によって分かれるカーストで、同じ村人でもジャーティーが違うと習慣が違い、婚姻関係も結びません。
ここでは、地主であるナヤール・カーストの家や、はた織りの家、井戸など、人びとがくらす村の情景を再現しています。
不思議な伝統に驚く、ナヤール(地主)の家
農業を営むナヤール(地主)の家です。ナヤールはケララ州にのみ見られる階層で、ジャーティー(職能的なカースト)の中では2番目に高いくらいに位置します。
この家は2階建てで、1階には居間、祭場、産室、台所、食堂、ベランダなどがあり、2階にはトイレが付属した寝室があります。ベランダは昼はお客様を迎える場所ですが、夜は家の男たちが寝るところになります。女性は2階で寝ます。
夫婦別居のくらし
ナヤール・カーストの人びとは、20世紀はじめ頃までは珍しい家族制度を持っていました。結婚後も、夫婦はそれぞれの家に住み続け、同居をしないのです。夫は、昼間は自分の田畑で働き、夜に妻の所を訪れます。生まれた子どもは母親と共に生活します。
夫婦の生計も別で、夫の財産はその姉妹の子どもたちに相続されます。現在はこうした制度はなくなりましたが、家の相続や財産分割のときに、この制度のなごりを見ることができます。
音の出る階段
踏板がグラグラと動き、音が出ます。誰かが階段を上ってきたことが、2階にいる女性にわかる仕組みになっています。
死者を弔う場所
ナドミッタムと呼ばれ、死者がでたときには、ここで遺体をきよめるなどの儀礼が行われます。