exhibition
展示
壁のない、涼しげな家
ポリネシア サモアの家
壁のない、涼しげな家
ポリネシア サモアの家
復元年代
復元方法
家屋修復年
海風が通り抜ける、開放的な生活
ポリネシア西部、高温多湿の熱帯に位置するサモア諸島で、タロイモを栽培し魚をとってくらす人々の住宅です。客間、居間、寝室、炊事場などが別々の棟に建てられる一棟一部屋の造りになっていることがポリネシア文化の特徴です。建物は、火山の溶岩やサンゴの石積みの基壇の上に、床面を円形や楕円形にして建てられます。丸い屋根はサゴヤシやココヤシの葉で葺いています(※展示家屋は保存の関係上、2019年以降は合成材を使用)。壁はまったく無く、雨風の強いときはすだれを垂らします。
最近では生活の西欧化が進むとともに、伝統的な住宅に住む人も減りつつありますが、現在も集会所は会合や儀礼のさいに使われている重要な場所です。
美しく編み上げられた半球状の屋根
サモアの伝統建築の美をよく伝える、現地語で“ファレ・ラポトポト(丸い家)”と呼ばれる接客用の家屋「集会所」。半球状の屋根裏はヤシ繊維の組み紐で固定した梁を一面に渡し、見事なドーム型を作っています。
みごとに組み立てられたその様は、見上げていると、まるで宇宙空間を漂っているような気にさせられます。
サモア職人の技が光った、2019年の修復プロジェクト
長年の風雨や台風被害により、集会所の屋根は大きく損壊していました。そこで2019年、サモアから棟梁レサ氏をはじめとする熟練職人から若手まで8名を招聘し、屋根だけでなく柱なども含めた大規模な修復プロジェクトを実施しました。
職人チームは、サモアから持ち込んだ建材と既存の材を組み合わせ、傷んだ柱や梁を丁寧に組み直しました。屋根材には、近年サモアでも普及している、燃えにくく長持ちする合成ヤシ葉材を使用しました。結束には伝統的なヤシ繊維の組み紐を用い、一つずつ丁寧に葺くなど、伝統技術も継承されています。
約2か月間、慣れない環境や気候の中、試行錯誤しながらも、職人たちは常に明るく作業を進めてくれました。こうして、現地の職人の技と現代の技術が融合し、サモアの集会所は美しい姿を取り戻しました。修復完了を記念し、関係者や来館者が見守る中、竣工式(アヴァ)が盛大に執り行われました。