exhibition
展示
丘や辻に立つ、祈りの場所
ペルーの十字架
丘や辻に立つ、祈りの場所
ペルーの十字架
復元方法
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村の守護神
チャンスンとソッテ
カトリックの伝統
16世紀初頭、スペイン人による征服を受けたペルーは、それ以来500年以上にわたるカトリックの伝統を持ち続けています。
この地では、地母神パチャママと習合したマリア崇拝や、病気治療と結びついた十字架への信仰など、土着の宗教と融合した独自の信仰体系が形成されてきました。
毎年5月上旬、ペルーでは「聖十字架の日」を祝う祭りが開催されます。
この日は、農作物の収穫祭として祝われることもあり、各地でさまざまな行事が行われます。
村の辻にある十字架には、通りかかる人々が祈りを捧げ、花を供える光景が見られます。

街道沿いに立つ十字架(2024年撮影)
十字架の再生 ―2024年の修復プロジェクト
リトルワールドに復元された十字架は、「ペルー 大農園領主の家」を背景に、周遊路の右手に立っています。
この十字架は、リマ市に実際に立てられているものをモデルにして、リマ市の工房で制作されたものです。
全人類の罪を贖うために磔刑を受けたイエス・キリストの受難に関連するさまざまなモチーフが取り付けられています。
経年劣化によって躯体が折れ、しばらく展示を取りやめていましたが、2024年9月にペルーから修復師を招き、十字架の再生を目指す修復作業を行いました。この修復には、「領主の家」の壁画を手がけたハイメ・ロサンさんと、彼の妻で画家のヘオルヒナさん、孫のシルヴァーナさんが来日し、およそ1ヶ月半をかけて作業を行いました。

ハイメ・ロサンさん。後ろで孫のシルヴァーナさんも作業を行っている
修復作業では、まず十字架の躯体を新しいものに交換し、その上からパーツを取り付け、細かな模様を丁寧に描きました。
パーツは以前使用されていたものの中から状態の良いものを選び、色を塗り直して再利用しました。

作業中のヘオルヒナさん
ペルーで数々の修復を手掛けてきたベテラン修復師、ハイメさん。
彼のサポートを受けながら、孫のシルヴァーナさんも修復の技術を学び、経験を積んでいきました。
修復を終え、美しく生まれ変わった十字架を見上げるハイメさんの顔には、満足そうな笑顔が浮かんでいました。

完成したペルーの十字架