exhibition
展示
19世紀末のコタン(村)の様子を再現
北海道 アイヌの家
19世紀末のコタン(村)の様子を再現
北海道 アイヌの家
復元年代
復元方法
家屋修復年
自然を敬いながら生きてきたアイヌのくらし
展示家屋は、日高地方、沙流川上流の二風谷アイヌに、19世紀末ごろまで見られた伝統的なコタン(村)の様子を再現したものです。
コタン(村)は、父系の血縁でつながる数軒から十数軒の家で構成され、世襲の村長が村を治めました。
二風谷アイヌの人びとは、明治時代に本格的な農耕が始まるまで、シカ、クマ、サケ、山菜などの豊富な動植物を巧みに利用しながら、儀礼と祈りによって自然の恵みに感謝をささげ、大自然との調和を保ったくらしを営んできました。
現在のアイヌの人たちは、このような家ではなく、現代の住宅にくらしています。
亜寒帯の気候に合わせた建材
屋根と壁には葦の仲間であるカヤと呼ばれる植物を使用しています。
カヤは内側がストローのように空洞になっていて、空気を含むと断熱効果をもちます。
柱や梁には、腐りにくいドスナラや独特のにおいが魔物を追い払うとされるエンジュの木などが使われています。こうした建材は家の中で火を焚いた炉から立ちのぼる煙で燻され、煤がつくことによって、雨や雪に対して負けない丈夫なものとなります。
イロリは火の神のすみか

母屋の囲炉裏
炉は食べ物を煮炊きする場所であるだけでなく、アイヌにもっとも尊ばれている火の神「アペフチカムイ」のすみかとされます。
儀礼や祭りでは、最初に酒と祈りをささげる場所で、どこに誰が座るのかなどの決まりがありました。
クマ送りの儀礼、イオマンテ
「イオマンテ」とは、生後間もないクマを生け捕りにし、たいせつに育て、再びアイヌの地に帰るよう願いを込めて丁重に儀礼をおこなってしとめ、神の国へ送り返すという儀礼です。
この儀礼は豊猟を願って行われました。クマは神の化身として丁重に扱われ、家の敷地内には飼育用に高床式のおりが設けられました。